私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
27.諦めないで良かった
「……あ、そう言えば。その『毒』についてですが」
自分の弁で散々流暢に語ったそこで、竜樹様は目を大きく開けて、何かを思い出したような仕草を取る。
話の切り替えとはいえ、とても白々しいような。
これ、演技?やだ、本当に恐い!貴方、本当に13歳ですか?日々、大人に混じって渡り合っていた生き抜く術の賜物だろうか。
あざとい。この人が味方で良かった……。
「伽藍姫の被毒の件につきまして、お伝えしたいことがあります。……裁判官殿、予め申請していた証人の招致、よろしいですか?」
法院裁判官が「認めます」と告げると、大広間の扉が開く。
そこには、一人の男性がこっちに向かって歩み進めている姿があった。
白い法衣を身に纏った、二十代半ばの栗毛の青年。白い法衣は『神殿』所属の証。
……前もって聞いていたため、私はこの人が誰かを知っている。
「……彼の名は、弥勒(みろく)。神殿勤務の治癒師でございます。……韋駄天様、この御方はどなたかおわかりですよね?彼はこの事件の際に、伽藍姫の毒の治療に当たった者です」