私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
28.貴殿は一体誰ですか①
有り難き天導師の高らかなお言葉に、場内は再び騒めきの渦となる。
「……確かに、法院の方々をはじめ、傍聴観衆の皆様が疑問を抱くのも、無理はないでしょう」
話は戻して、伽藍様を襲った、先程の【被毒術式】の術陣の件だ。
そう。傍聴の観衆の中には、疑問の声も上がっていたはず。何だあれは、と。
この天界の神術士ならわかる、この術陣への違和感を。
「この見慣れない筆使いの複雑性を極めた術陣。……この天界に住まう者なら、誰もが首を傾げるでしょう。それもその筈、この術陣は、この天界に住まう神術士が使用するものではありません」
竜樹様の一言に、観衆からのどよめきが更に強くなっていた。中には声をあげる人も。
予想通り、期待通りの反応だ。
「……この複雑な術陣、被毒術式の使い手である摩睺羅伽王様にも確認して参りました。結果、『被毒術式であるのは間違いないが、天界には伝えられていないもの、見たことがない』だそうです。……では、何なのか?弥勒殿に依頼されて私、『水帝天導師』竜樹が調べたところ……驚くべき事実が発覚しました!」