私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
そう言われれば、そうだ。と、納得している人も少なからずいるのだろう。韋駄天様の人となりを知る人なら。
この裁判の態度だけでも明らかだ。本来の韋駄天様なら、こうだんまりはせず逆にあーでもないこーでもないと、見苦しいほど喚くはず。それを側近や身内の私らがどうどうと宥めるのだ。……いや、それも問題なんですけど。
「……韋駄天殿、何か申し分はあるかね」
あまりの沈黙に、法院裁判官もその意図を訊ねる。
だが、その灯りが消えた瞳が、ギロッと裁判官を捉えるだけ。
その眼力に慌てた裁判官は、吃りながらも次の言葉を発する。
「も、申し分がないなら、私刑……いや、罪の捏造を認めるのかね?!」
「……いえ、私はそんなもの知りません。そのような【被毒術式】も、冤罪も」
「こ、これだけ証拠が上がっていて、知らないでは済まされないのだよ!それに……」
裁判官殿は、何かを言い掛けてその口を噤む。
何故ならば、思わず糾弾を止めてしまうほどの異変に気付いたからだ。
「なっ……!」