私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
大広間を照らすシャンデリアにぶら下がって笑っているのは……背中に二本の大きな黒い翼を生やした青年。
……翼だ!
「こんなとこから登場、ごめんなさいねー!っと!」
そう言って、翼はシャンデリアから手を離し、体をフワッと宙に浮かせた。
黒い二つの翼をバタバタとはためかせて、ゆっくりと下降してくる。
スタッと地上に降り立つと、積もった黒い羽根がフワッと小さく舞った。
降り立った場所は、裁判中の私らの目の前だ。
「裁判官さん、おつー!あんたたちも大変だね!」
「ひっ……!」
背中から生える、二つの特大の黒翼をひけらかすように出しっぱなしの男は、周りに手を振りながら、笑顔で愛想を振り撒いているが。
愛想良くされようが、目の前にいるのは神族の天敵である魔族。裁判官からは戸惑い少々と戦慄の悲鳴が漏れていた。
もちろん、傍聴観衆も同じ反応である。
突然登場しては、「わははは!」とお愛想を振り撒いて笑い続ける翼に、私の隣にいる竜樹様は「早うせい」とボソッと呟く。
聞こえるか否かの小声だったのに、翼はしっかりピクッと反応する。
「わははは!メンゴメンゴ!」と、こっちを見て、また笑っていたのだった。