私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
29.貴殿は一体誰ですか②
そして、そのノリのまま、俊敏に法院裁判官の方へと向き直った。
視線を投げられた裁判官、恐怖のあまり、再度ビクッと体を震わせている。
「……そぉーゆーわけで、裁判長ぉぉっ!証拠の品を提出したいと思いますぅぅっ!」
「はっ……さ、裁判長?証拠?!」
忌むべき者の象徴・魔族が突然登場した挙げ句、急に証拠提出を宣言?もちろん、戸惑い最高潮の法院裁判官。
だが、そこで思わぬ横やりが入る。
「……裁判官!異議ありだ!部外者の……魔族の証拠提出など、そんな信憑性のないもの認めるのか!」
驚いた。
徹底的にだんまりを決め込んでいた、韋駄天様……いや、架威がここで声を上げた。
瞳にしか現れてなかった憎悪の感情が、今となっては表情にモロに出ていて、顔を歪ませている。
架威にとっては、同郷であるまさかの人物が現れたからだろうか。
だが、黒い翼の魔族は、それすらも笑い飛ばす。
「うわははは!魔族だから信憑性ないとか、どんな理屈?それに部外者の証拠提出認めないとか、もうこの時点ではそんな形式張ったもの、求めてないのよ。こんな茶番劇にさ?……おわかり?」