私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「あ、あれは……!」
「ああぁぁっ!」
黒い翼の中から登場したのは、二つの人影。
二人の男性だった。
……だが、ここ一番で周りが騒ぎ出すのも、無理はない。
そこには何故か、渦中の人物と同じ姿をした男性がいるのだ。
立つこともままならず、傾きかけた男性に肩を貸している男性。
そこにはなんと……痩せこけて顔色は悪いが、お顔姿は間違いなく彼の人。
「いっ……韋駄天様っ?!」
あの、韋駄天様だ。
正真正銘の、ニセモノなんかではない、韋駄天様。やつれてはいるが。
それに肩を貸しているのは、竜樹様の従者である士黄様。
「韋駄天様が二人?!何故!」
「しかも、あんなにやつれて……!」
「ち、父上っ?!……え?え?」
実の息子である朝霧様も混乱だ。傍にいる成りすまし韋駄天様と、ズタボロで登場した韋駄天様を交互にチラチラ見ている。
傍聴観衆も、ただただ驚きで、どよめきの声はもう最高潮で、騒がしくなっていた。