私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


『兄上は、自分の縄張りに宝を隠すタイプだ』



そう言う聖威の助言を受けて、このガサ入れ作戦を秘密裏に遂行する。

ーーー韋駄天城には、何か証拠が隠されている。

と、狙って。



そして見つけたお宝とは……やはり、想像通り。

本物が出てきたということ、なのだ。

それを目の前にどーんと叩きつけてやれば、架威は八方塞がりとなる。




「ここ掘れワンワン!……なんか、客室も血の匂いがして怪しかったぜー?取り敢えず、城に置いてきた調査官に調べさせてるけどなー?いいよなー?本物の城の主である、ズタボロのおっさん!」



なぁー?と、首を傾げて、翼は傍にいるズタボロおっさん韋駄天様の顔を覗き込んでいる。……あわわ。おっさんだなんて、不敬よ!

だが、そのおっさん(ごめんなさい)は、そんな不敬など構わず、口をパクパクさせながら、虚に頷いていた。あまりの衰弱に声も出ないのだろうか。



士黄様に肩を借りて、身を預けざるを得ないほどやつれて、頬もこけている韋駄天様。

虚な瞳をゆっくりと動かして、定めた視点は私の方だった。

そして、あわあわと口を開く。



「ま、舞空……」

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