私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
31.魔族大戦争?
「【紫の門】?!……魔族でもない兄上が、魔族特化の術を行使するだなんて!まさか……」
「その、まさかだよ。聖威?」
架威がまた、不気味にニヤリと笑う。
その反応は、聖威の頭の中の推測が確信となる瞬間だった。
「まさか、まさか魔族を喰らって……!」
「……」
不気味な笑みを見せるのみという、架威の無言の返答は、その確信を肯定していると思える。
「……【紫の門】が開いたぞ!傍聴観衆の者は直ちに退避せよ!」
聖威が確信した事実に愕然としている間にも、竜樹様から傍聴観衆への避難勧告が場内に響く。
同時に、【紫の門】から魔族が一人、降り立った。
……魔獣だ。四つ足で、ボコボコとした緑の鱗と鋭い牙を持つ。一見、獣。
魔獣は吠える。獰猛に開いた口に光る牙は糸を引いており、金属が擦れるような耳障りな咆哮な、耳を塞ぎたくなるほど。
「うぉっ、出た。竜種アーガイル一匹ぐらいなら俺っちに任せんしゃい!」
「……あほ!一匹で済むわけないだろ!」
聖威の言葉の通りだ。
【紫の門】から出てきた魔獣は一匹だけではない。