私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
全身を強く打ち付けた地面は硬いまんまだった。痛みが全身に走る。
でも、早く逃げねばならない。やっとの思いで体を起こすのだが。
「えっ……」
辺りを見回すと、そこは静寂の中で。
何も、無かったのだ。
架威が【紫の門】から喚んだ大量の魔族も、それと対峙する聖威や竜樹様らの姿も。
見渡す気色は、さっきまで駆け抜けていた大広間ではない。
何もない、紫の靄の中だ。
ここは、どこ……?!
私、どこに来たの?!
『ここは、幻術の中だよ……』
何処からか、声が聞こえてきた。
……だ、誰?!
予想だにしなかった展開で、気持ちが焦る。
キョロキョロと辺りを見回していると、私の目の前に、その姿が薄っすらと浮かび上がっていた。
『よくも、私の計画を邪魔してくれたね?……使用人の女』
その姿がどんどんはっきり見えてくる。
怒りの表情さえ、はっきりと見えて。
その人物が誰かと理解すると、恐怖で背筋すら凍り、体が緊張を覚えて固まってしまった。
『君が余計なことをしてくれるから、こんな面倒なことに……』
この騒ぎの張本人。
……架威だ。