私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
この幻術の中、何故聖威の姿が見えないのに、声だけが聞こえるかなんて、深く考えるのはやめた。
だって、聖威はすぐ近くにいる。絶対。
何の根拠もない確信だけど、そう信じてしまうのだ。
だから、私は応える。
一緒に戦うって、決めたから。
「……聖威!聖威っ!」
声がするであろう方角に顔を向けて、信頼おける仲間の名前を叫ぶ。
無我夢中で、その名を呼んだ。
「聖威!私はここだよ!……聖威ぃぃっ!」
「なっ……!」
周辺を覆っていた靄が、パリンと音をたてる。
割れたガラスのようにヒビが入ると、そこから傾れるように、ガラガラと崩れていく。
「あっ!」
地面は上下に激しく揺れて立っていられず、私はまたしても転んでしまう。
轟音と共にヒビの入った靄の部分から光が差し込んできて、あっという間に辺りを包み込んだ。
……崩れ落ちた。
(……はっ!)
光が消え去ると、視界の景色が変わる。
そこは、先程までいた大広間の光景。魔族らがあちらこちらに暴れては、竜樹様や銀太さんが対峙している様子だ。