私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
……だなんていう疑問は、目の前の光景を見たら明らかなことで。
架威の放った魔力に押し切られて吹っ飛ばされ、私同様、地に転がっている聖威の姿があったのだ。
「……聖威!」
聖威は私を庇ったために、代わりに魔力の攻撃を受けてしまった!
座っている場合じゃない。直ぐ様立ち上がって、慌てて駆け付ける。
だが、傍で見ていた架威が私の視界に入ってきた。
私に向かってすかさず手を挙げている。……私への攻撃がまだ終わったわけではなかったのだ。
……まずい、これじゃまたやられる!
慌てて足を止める。
だが、再度踵を返す間もなく、私らの間に入り込んできた影があった。
反射して光る、黒い刃。
舞って風に乗る、黒い羽根。
背中から生える、猛々しい二つの黒い翼。
「……架威様ぁぁっ!実の妹に本気で手を掛けるとは、何たることか!天国で御館様が泣いてるでしょうに!」
「くっ……翼ぅぅ!おまえぇぇ!」
私を背に庇い、架威に向かって黒い刀身を振り下ろしていたのは、翼だった。
架威に向けられた黒い刃は、寸前のところで架威の掌中した魔力に防御されていた。