私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
34.親愛なる者へ
……私らの様子を見て、聖威が吹っ飛ばされたのを見て、慌てて飛んできたのだろう。
そんな翼の横顔は、いつものふざけてヘラヘラしている表情ではない。
架威を睨み付けた、怒りの表情だった。
振り下ろした刃をそのままググッと力で押しつけながら、翼は背後にいる私に叫び掛ける。
「……舞空!取り急ぎ、聖威を回復してやってくれ!」
「えっ?」
「今のであいつ、魔力を当てられて動けないはずだ!……早く!」
「わ、わかった!」
何を考える間もなく、翼の指示に従い、私は再び聖威のもとへと駆け出す。
この魔獣の量を相手に、戦力がひとつでも欠けるのは痛い。
回復……そうだ。
私にもやれることが、まだある。
吹っ飛ばされた聖威は、少し離れたところで倒れていた。
だが、ピクリとも動いていない。
「聖威!」
呼びかけて、肩を激しく揺する。
しかし、予想の通り、返答はない。
顔色が悪く、グッタリとしていることから、当てられた魔力の量が多過ぎたのだ。
確かにあの大きさの魔力だ。死んでないだけまだマシかもしれない。