私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
3.敵か、味方か
氷の飛び道具を、ただの結界陣で一網打尽で粉々にしてしまった。
閃光で描かれた結界陣は、神々しい黄金の光を放っている。
「なっ……!」
こんなはずじゃなかったのか、自分の技をいとも簡単に跳ね返された御者は、戸惑いの表情を見せる。だって、奥義……所謂、必殺技だ。
だが、その隙は逃さず。顔を隠している少女のフードからは、不敵に上がる口角が見えていた。
「……深宇宙に游ぐ、碧の惑星……」
手元に翳した結界陣は姿を消す。代わりに彼女の頭上に別の術陣が出現した。
人差し指を立てたその先に描かれた術陣から、紺碧の光が浮かび上がる。
彼女が初めて言霊を口にした。
「深宇宙奥義、【碧彗星】」
頭上の術陣から、光の塊がドンッ!と噴き出す。
奥義と語った光の塊は、そのまま真上へ。目にも止まらぬ速度で、あっという間に空の彼方へと消えていった。
……あれ?
辺りはシーンと鎮まった。
「……は?」
奥義と宣告され、防御を取ろうとしていた御者だったが、奥義は空の彼方へと消えてしまったのだ。
何が起こったのかわからず、戸惑いを隠しきれない。辺りをキョロキョロと見回していた。