私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
突然背後から話しかけられて、体がビクッと跳ねた。
聞こえてきたのは、穏やかな男性の声。
振り向いてその人物の顔を見ると、また体が跳ねた。
「て、天王様っ!」
「こんにちは、鳩槃茶の舞空嬢」
こんな尊き御方が、何故ここに!……魔獣の出現と共に逃げたのでは?
だが、にこやかに笑みを見せる天王様の可憐なる白い外套は薄ら汚れていて、右手には剣が握られている。
この惨状を見ていられず、魔獣ひしめく大広間の何処かで、魔獣相手に戦っていたのだろう。
天王様は、髪も翼も剣も何もかも真っ白になってしまった翼と架威の猛攻を見つめながら、言葉の続きを口にする。
「神族以外の神術士が扱う神力は、分子の大きさや流れが神族とは異なる。それ故、我々神族には使えない『契約の儀』を執行することが出来るんだって。……そのひとつが、この【絶対従者契約】」
「……」
「…その神術士の『主』が何らかの事態で、戦闘不能になり、戦うことが出来なくなった場合、その契約をした者【絶対従者】が『主』の『戦闘に特化した能力』の使用を許される。結界や【相殺術式】などは使えないけど奥義なら使えるんだ」