私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「はぁ……」
突然現れては解説を始める天王様に、ちょっと戸惑ってしまった。
さすが、天子様。私の知らない知識まで!……という、心の底の感想は置いといて。
そして、気付くと天王様の視線は、私の腕の中で未だに覚醒しない聖威にあった。
膝を折り曲げて体を屈め、上から覗き込む。
目を閉じていても美しいといえる顔を、しばらく黙って見つめている。
……その瞳は、暖かく、優しく。
まるで愛おしいものを見るような。こっちまで胸がドキドキさせられる。
「……君が、この子を助けてくれたの?」
「え?」
「さっき、治癒術式使っていたようだけど」
私が聖威を治癒するところを、何処かで見ていたようだ。
拙く「は、はい」と返答する。
すると「そうか……」と、呟いてはまた穏やかにニコリと笑っている。
「……ありがとう」
「へ?」
「……僕の大事な人を、助けてくれてありがとう」
「……」
僕の大事な人。
……その言葉に、偽りは無いと思った。