私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
『神族の女……そこでおねんねしてるのは、人間?』
そう言って、私たちを値踏みするようにジロジロと見ているようだ。
舌舐めずりをしながら、しばらくジロジロと見続けられる。
そんな不気味な視線から聖威を隠すように背を向けた。
そして……視線は止まる。
『……神族の女の方が、美味いに決まってるよな?』
「きゃっ!……や、やめ!」
抵抗する間も無く、人型魔族の大きな手で首根っこを引っ張り上げられる。まるで、小動物を扱うかのように。
足がフワッと浮いて、そのはずみで聖威から手を離してしまい、床に落としてしまった。
……ああっ!大変だ!聖威が!まだ目が醒めてないのに!
だが、しかし。自分の心配をした方が良さそうだ。
『お嬢さん?……神力吸い取ってから、ゆっくり喰らってやるよ?』
魔族の男の顔が迫る。ギョロリと動く獰猛な瞳に、恐怖に全身が囚われていた。
ま、待って!危機を逃れたと思ったら、また危機で。
どうしてこんなのばかり!
(……いや、)
それが、戦場なのだ。
私が夢に見た神術士が身を置く場所とは、そういうものなのだ。
力の無い者は、あっという間に危機が訪れて、あっという間にやられる。
そんな場所だ。