私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
目を見開いた私の顔を見て、老師はクスリと笑う。
『花に水をやる……実に良い表現ですな?』
『え』
『花は、養分の溜まった土壌でその芽をつけ、日光を浴び、水を得て、自分自身を育みます。しかし……』
……老人のただの穏やかな世間話だと思っていた。
だけど、それは違う。
これは、老師の有り難い指南の話だったのだ。
拳を握る。
老師の言葉を、ひとつひとつ慎重に思い出しながら。
『……しかし、花に水を与えすぎると、例え日光を浴びていようが、土壌が良かろうが、大量の水がその土壌を緩ませ、太陽の恵みが追い付かないほど、その根を腐らせてしまうでしょう』
『根が、腐る……?』
『そうです。そして、花は枯れ果て、もう二度とその身を立たせることはない。……一度根を腐らせた花は、それから何度水を与えてももう、花を咲かせることはなくなるのです』
『……』
『お嬢様の【光の泉】も、この、花に与える水に大層似てますねぇ……?』
……そうか。そうだったんだ。
(ならば……!)
「……聖なる白い恩寵、光の祝福……」
迫る人型魔族の手を、咄嗟に出した術陣でバシッと弾く。
一瞬、顔を顰めた魔族だったが、術陣の正体がすぐにわかったらしい。嘲笑するかのごとく、私に不気味な笑みを見せていた。