私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
『神族のお嬢さん?これは治癒の術陣だろ?これで俺を回復してくれるのかな?なぁ?』
小物ごときが何をするのかと揶揄うように、ニヤニヤと私をジロジロと見てくるが、そんなの知ったことではない。
人型魔族に向けた、【治癒術式】の術陣。
その術陣に手を翳したまま、私はいつものように、そこに【治癒術式】の神力を全力で注ぎ込む。
先の羅沙姫の件よりも、もっと強く。深く、多く。出力は全開だ。
それはもう比ではない。体が反り返りそうなぐらい、指や足の先から全身の神力がグイグイと引っ張られる。
術陣を向けられ、私に【治癒術式】を掛けられている人型魔族は「おおぉぉっ!」と声をあげて感嘆する。
体に治癒の力が漲るのを実感しているのだろう。
『殺される相手に治癒なんざ、頭がおかしくなっちまったかなぁ?……ハハハ!』
嘲笑われても、気にしない。
それで、間違ってないから。
私は頭がおかしくなったわけでもない。
倒すべき敵に、敢えての治癒術式を向ける。
……傍から見たら、敵を回復するなんざ、何やってんの?と、思われるのは確かだ。