私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
36.よくやったとは言い難いだろ
口にした私の言霊に反応して、手元にある術陣の構図がズラリと配列を変えて、純白の光を発した。
さっきの治癒術式の術陣とは、全く別のものになる。
『何を……!』
仕掛けられたことに気付いた人型魔族は、咄嗟に私に向かって構えるが。
私は遠慮なく、その奥義の名前を口にするために、息を吸った。
記憶の底にある、大切な人の顔を思い浮かべながら。
……ねえ、老師?
ここまで辿り着いた、今の私。
どう……?
《素晴らしいですぞ!舞空お嬢様!》
もっと自分に、正直になったら。
今まで出逢ったことのない、違う私が見えてきたよ……?
「……光癒・秘奥義【光の沼】」
すると、術陣から溢れた光は、標的である人型魔族の全身を、まとわりつくように包み始めた。
それが不快で痛みが伴うものなのか、光に包まれた人型魔族は『ギャアアアア!』と、断末魔のような悲鳴をあげる。
だが、止まらず光は体の細胞ひとつひとつに侵蝕していくのだ。
……花の根を腐らせるように。
要するに。
体に良いからといって、食べ過ぎると毒になる。という話。