私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
私の唯一の神術【光の泉】は、自分の神力を注ぎ込んで、相手の体内にある神力……魔族なら魔力を活性化させて回復に持ち込む手助けをするもの。
……なので、活性化させて回復に成功したら、術式の執行を術者判断で中止しなくてはならない。術式の完了は、自己判断。
だが、回復してもなお、故意に治癒の神力を注ぎ続けると、『花に水を与え過ぎる』状況となる。
自己の神力が活性化された状態が過剰に続き、体内の生態系がおかしくなってしまうのだ。恐らく。
そして、再生も出来ないほどの『根腐れ』が始まる。
こんな風に……。
『ああぁぁっ!……あああぁぁぁっ!』
…‥腐り、始めた。
さっきまで余裕綽々で私を嘲笑し続けていた人型魔族だが、打って変わって、今は悲痛な叫び声をあげている。
ドロッと溶け出した、自分の掌を凝視しながら。
いや、溶け出しているのは手だけではない。
全身の至る所が溶解し始めていて、そのカタチを崩していた。
まるで、火がついた蝋燭のように。
そして、治癒術式の過剰で起こっている現象なので、ここからの再生の手立ては皆無なのである。
人型魔族が『根腐れ』を起こす……全身の溶解が進むその様を、立ち尽くしたまま黙って見守る。
すでに原型がわからないほど、ドロドロした泥状の物体となっていた。