私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「……っ!」
さぞ、凄惨な光景かと思いきや、思いもよらぬ事態だった。
あの衝撃をまともにくらった御者兼神術士は、ズタボロ……ではなかった。
(あ、あれは……?)
そこには、傷だらけで倒れている御者、ではなく……大きな碧の球体へと姿が変わっていた。
いや、よく見ると、その碧の球体の中には、先程まで息巻いて戦っていた御者が、ほぼ無傷でおねんねしているのだ。
え、寝てる……?
「聖威の【碧彗星】は、相手の意識奪って寝かしちゃう『補助術式』なのだよ」
「補助術式?!それって、初めから……」
「そそ。目的は『彼らを足止めすること』なんで。無駄な殺生はしてはいけませんのよ?たぶん丸一日は術式解けないかなー?」
疑問を持った私に、黒い翼の彼は、自分のことのように胸を張って説明してくる。
けど、まだわからないことばかりで。
「足止めって……」
「おー。『君に逃げられた』という事実の発覚を遅らせるためだよ」
「な、何で私をっ……!」
その疑問をぶつけると同時に、向こうから「撤収!!」と、少女が声をあげる。
黒い翼の彼と、まだ木の麓にいる大砲を放った彼は同時に『了解!』と声を揃えて答えた。