私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
聖威の体から、今までに感じたことのない神力が薄っすらと漏れている……?
目には見えない。でも、感じる。格式高い質の神力を。
それは、どう表現するべきか。
……神々しい?
そして、異変はそれだけじゃない。
進む聖威の前に、魔獣が何匹も立ちはだかるのだけど。
襲い掛かるその前に、魔獣も何かに気付いたかのように慌てて聖威から距離を離し、ササッとその道を開けるのだ。
魔獣らも、『この者に逆らってはいけない』と、本能でその『神々しい神力』を感じ取ったかのように。
聖威は、そんな周りの魔獣の様子なんて見向きもせず、ただ悠然と前を向いて足を進める。
……ケリをつけねばならないと言っていた、兄の元へ。
「……舞空嬢。素晴らしいものが見られるかもしれない」
「え?」
そう私に言いながら、天王様は目を離さずにずっと見つめていた。
神々しさが溢れ出している、愛しい人の背中を。
そして、目的地に辿り着くと、足を止める。
「兄上……」
格式高い神力を振り撒いて歩いているのだから、そりゃ気付くだろう。
翼と架威は、争うその手を停めていた。
「聖威?!……何だ、その神力は!」