私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
37.【宿曜】
ここまで驚愕した架威の表情を見るのは、初めてだと思う。
目には見えない、得体の知れない『格式高い神力』を感じ取っては、僅かながら混惑しているよう。
しかも、その発生源は実の妹だ。
戸惑いは隠しきれない。
「……兄上。関係のない者や世界をここまで巻き込んで、もう看過出来ません」
「な、何だと!生意気なっ……!」
「……いえ、全ては私が悪いのだと思ってます。兄上に、真実を告げる覚悟が出来ていなかったから」
「真実だと?!」
二人の間に、何とも言えない緊張が走る。
だが、そんな空気を無視して、二人のあいだに割り込んで口を挟む声がした。
「いやいや、そーじゃないでしょっ」
バサバサッと翼がはためく音がする。
【従者契約】の力で色を変えた白い翼を持つ、翼だ。
「だって、月影総統はじめ幹部らにトップシークレットとして口止めされてたじゃん?『特に架威様には、絶対その真実を明かすな』とさ?」
そう言いながら、その白い翼をバサバサ動かして翼は移動し、聖威の傍へと跪いた。
まるで、本当の従者のように。
「……とうとう、だな?お待ちしておりましたぜ?……我が主、【宿曜】殿?」