私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
跪いたまま、ニヒッと笑う翼だが。そんな従者に主人は物申したいことがあるらしい。
上から見下ろしてキッと睨み付ける。
「おい、翼。……私のどこが無駄に優しくてばかでどうしようもないって?」
「ありゃ。さっきの聞いてたの?タヌキ寝入りはいかんよ」
「ちゃう。舞空の回復に神経系が付いて行かなかっただけ。目が開かずとも聞こえてたわ」
「むふっ。でも事実でしょーが。ばかもあほもどうもなんねえぐらい兄上に優しすぎるのもよー」
「ち、違う!この私を舐めるなよ?」
「うぉー。ペロペロー」
何故、こんな時に軽く小競り合いが始まってるのでしょうか。
「それに……もう、覚悟は決めたさ」
「ほーぅ」
そして、二人は一斉に視線をやる。
聖威のいう、覚悟をぶつけるべき相手の方へ。
「す、【宿曜】だとぉっ?!」
架威が、ここ一番で声を張り上げたような気がする。
更に驚愕を見せるのも無理はない。自分の探していた【宿曜】が目の前にいる事を告げられ、しかもそれは実の妹だというのだから。