私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

だが、今にも歯噛みをしそうな、怒りに溢れた顔貌を前にしても、聖威は怯むことはなかった。

目を細めて、実の兄を見遣る。

そして、冷静に事を告げた。



「……兄上ではない。私が、『選ばれた』のです。星が並ぶ銀河に、漆黒の夜空に浮かぶ星雲に。……『聖域』に」

「き……さま!」

「だって、兄上が選ばれるはずがないじゃないですか。【宿曜】は『聖域』の番人で、兄上みたいな『聖域』を狙う者を追い払う立場の者ですよ?……まあ、単なる番人に過ぎませんけどね」

「は……」

「『聖域』の力を借りて、『聖域』の扉を護る番人。『聖域』の言付けや『聖域』にある力を儀式を介して他世界に下ろし、『聖域』と他世界を繋ぐ役割をする者。……ただ『聖域』の力を欲しがるだけの兄上に、そんなこと出来ますか?……選ばれるわけもない、そんなの」

「ち、がう……違う、違う……そんなわけはない……私だ、【宿曜】に相応しいのは、私だ!私なんだぁぁぁ!」

「いいえ、違います。【宿曜】に選ばれたのは私です。兄上ではない」

「違うぅぅ!私だぁぁぁ!」

「御理解頂けないのなら、お見せ致しますか?」
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