私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
そこからは、早い。
撤収を言い渡した少女は、こっちに向かって駆け出してくる。
走りながら手を翳して、また無詠唱で私達の傍に出現させたものは、転移術式だった。
「乗れ!」
「ほいほい」
「神術って便利だにゃー。この転移陣とかさー」
そうして、それぞれが術陣の上に身を移動させる。
黒い翼の彼は、私を抱いたまま術陣の上に軽やかに足を下ろした。
「さあ、逃げるよお嬢さん?……いや、鳩槃茶王の令嬢、舞空嬢?」
「えっ!」
この人、私の名前を……!
と、いうことは。これは、計画的な犯行なのである。
私を逃がす、いや、攫うという。
……この人たちだって、敵か味方か。まだわからないじゃない。
油断は禁物だ。
そんな懸念を抱えながらも、私達を乗せた術陣は彼女の合図で光り出す。
転移術式は発動し、私達を光に包んでいった。
そして、しばらくすると目の前から光が捌ける。
視界が開けたその向こうは、もうすでに先程までいた森の中ではなかった。
「……」
打って変わって、そこは室内。
白い壁、小さな窓に木の床。狭い部屋。古民家の一室のようだった。