私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「ここは……?」
高さの低い天井を見上げて呟くと、「よいしょ」と、ようやく腕の中から降ろされた。
「ここは俺たちの拠点さ」と、一言付け加えられて。
「拠点?あ、あなたたちは……」
「うーん。説明の前に……聖威!お嬢さんの手枷外してやってくれ。【捕縛】の術式が掛けられてるわ」
「はぁ?護送はお粗末なのに、そこはしっかりしてんだな」
聖威(しょうい)と呼ばれた少女は、口元を引き攣らせながら苦笑いしてやってくる。
いつの間にかローブのフードを下ろしていて、艶々な長い黒髪が露わになっていた。
聖威は私の目の前に立つ。よく見ると顔の作りも目は大きく黒めがちで、鼻、口のひとつひとつが凛々しくスッとしている。美人の部類だ。
……こんな少女が、歌いながら登場したり、無詠唱で術式を発動させたり、あんな大技ふっかけたりしていたなんて。
信じられない。
そして、聖威は私の両手を括っている手枷を、私の両手ごと手に取って、そっと持ち上げた。
……この手枷は、特殊な術式が練り込まれている。