私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
ーーそれから、私が倒れた後の事の顛末を聞く。
架威はやはり、お得意の【擬態術式】を使ったのか、誰も姿を見つけることが出来なかった。
聖威の『聖域』の光で魔族は壊滅、人型魔族ですら瀕死の状態。
辛うじて動ける状態にあった魔族は『聖域』に恐れをなし、深傷の身を引き摺りながら、逃げるために【紫の門】へとどんどん身を投じていた。
……恐らく、その集団に紛れて逃げたのだろう。
術者が術式を放棄すると、術式は効を失くしていくもの。
開けた張本人を失った【紫の門】は次第に効力を弱めていき、やがて自然に閉じた。
それは、架威の逃亡は成功したことを裏付ける事実となる。
架威は、逃げた。
聖威らの任務は失敗、というカタチとなったのだ。
「そんな……」
任務失敗……。
その事実を聞かされ、茫然とするしかなかった。
特級犯罪人を、架威を捕らえるためにここまで来たというのに。
私自身が科せられた任務ではないのだけど、自分のことのように落ち込んでしまう。
実の兄に、これ以上罪を重ねて欲しくない。という聖威の思いはどうなるのか。
そう考えると、胸が痛かった。