私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「まあ、そう落ち込むなよ。何も、収穫無しの手ぶらで帰るわけじゃない」
言葉を失くして俯く私の肩に、聖威は手を乗せる。
「でも……」
「この三年間、兄上の姿を見つけることさえ出来なかったのに、今回は見つけるどころか接触出来たんだ。大した前進だよ。……それに、最低限の目的は果たせているし」
「最低限の目的?」
聖威は頷く。
「兄上に……【宿曜】の在処を。私が【宿曜】だってことを伝えることが出来た。最低限、それが出来れば文句はない」
「え、どういうこと?」
「私が【宿曜】だとわかれば、兄上は【宿曜】探しを止める。【宿曜】が見つかったんだから、殺戮重ねて探す必要がもう無くなるんだ。そうなると、今回の件のように何の関係ない人が被害を被ることはもう無くなるだろ?」
「あ……」
「まあ……今度は私自身を狙ってくるだろうけど。でも、兄上がこれ以上関係ない人を巻き込んで命を奪うことは、もうない」
そういうこと……。
聖威自身が【宿曜】であることを架威に伝えることで、架威の目を自分に向けさせる。
そうすれば、架威の欲望に巻き込まれる人がいなくなる。被害が減る。
架威は【宿曜】である聖威のみを狙うことになると思われるのだから。
今度は追う立場じゃなく、追われる立場となるのだ。