私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
見た目は木製の古ぼけたものだが、力任せに破壊されないように【強化】と、下手に動かせないように【捕縛】の術式が掛けられているのだ。
そんな二つの術式が複雑に練り込まれた手枷を、その黒めがちな瞳でじっと見つめる。
そして……。
「超楽勝」
そう呟いた途端、手枷がボコッと音を立てて上下に激しく揺れる。
「ひゃっ!……あっ」
生き物が動くような衝撃に体を震わせてしまったが、気付いた時にはもう木製の手枷は粉々になってサラサラと床に落ちていった。
「へ……」
「神力量少ないから、術式ごと力任せに破壊した」
「えっ?!そ、そんなこと出来るの?!」
「出来るよ」
「ひひひ。聖威は強くて優秀な神術士であるからなぁ?よかったねぇ、解放されて」
傍にいた黒い翼の彼は、笑いながら補足してくれる。……いつの間にか背中の黒い翼は消え失せていて、見た目は普通の黒髪の青年となっていた。
「はぁ……」
少女、聖威は私に背を向けてその場を離れる。
身に纏っていたローブを脱ぎながら、この小部屋を出て行く。
(………)
拘束の解かれた手首を摩りながら、その背中を私は見つめていた。