私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
……部下と思われる人に指示出してる。聖威よりいくつも歳上に見える人に。聖威が役職付きの偉い人というのは、本当だったんだ。
今まで着ていたものと違うものを身に付けている聖威を見ると、やはり聖威は異世界の軍人なんだと認識してしまった。
その光景を離れたところから眺めていたが、やがてこっちを振り向いた聖威と目が合う。
「お、舞空。おはよ」
「……おはよ」
いつもと違う聖威が、いつもと同じように私に挨拶する。
「こんなに朝早く帰るだなんて聞いてないわよ」
嫌味のひとつでも言ってやると、聖威は「ははっ」と笑う。
「そーそー。急ぎすぎだって、この隊長に言ってやってよ、もう」
「ね?」と、聖威は隣にいる人の顔を見上げる。
「甥とはいえ、上司だからな。命令には逆らえないよ。それに、副隊長の聖威がいないことで滞っている書類がいくつかあるんだ。そりゃ部下らも早く聖威を迎えに行きたがる」
「わっ!……か、帰りたくない」
その隊長と呼んだ人物は、苦笑いしている。聖威と同じ黒い軍服を着た、背の高い男性だった。
背は高いが、線が細くて軍人ぽくない。年齢も幾ばくか上のよう。