私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

この別れという空気感に堪えられなくなったのか、豹牙様が肩を震わせて俯いている。

唇を噛んで想いを堪え、その瞳には涙が溢れていた。



「坊ちゃん……」

「やっぱりいやだよ!……翼、ここに残れ!俺の侍従でいろ、ずっと傍にいろ!いろんなこと、もっと教えてくれよ!」

「あ……」

「何なら、今度は俺がもっと面白いものを、見たことない世界をおまえに見せてやる!だから、だから……」

「あ、ああぁぁ、坊ちゃん泣かないで」

「な、泣いてない!男だから、泣かないぞ!」

と、言いつつも、豹牙様の目からは涙がドバドバと溢れてしまっていた。

さすがの翼も困った表情を見せている。

「そ、そこの料理人も、ずっとここにいればいいじゃないか!ずっと美味くて変なもん作っていていいぞ!そこの女は、えっと……兄上の相手でもしてろ!みんな、みんな俺が面倒見るから……ううぅぅ……」

「わ、わわ、坊ちゃん!」

堪え切れずにとうとう、声を出して泣いてしまった。

翼が慌てて、よしよしと豹牙様の背中を摩る中、「いや、俺本職料理人じゃねえし」「相手でもしたらとは何だ。私は娼婦じゃないぞ」と、他二人の小声のツッコミがなんとも厳しい。

みんな……相手は子どもだって!

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