私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
前を向けたら、今度は上を向け。
もう、聖威がそう言ってくれるなら、十分。
私は手の届くとこまで、上がっていけるよ。
私の答えが耳に入ったのか、聖威はニッと笑う。
だが、その笑顔を最後に背後から伸びた手に引き摺られ、慌てて扉が閉められた。
そして……浮上しきった飛行船は、火花から変わった電光に包まれて、あっという間にその姿を消す。
異次元を越えて、行ってしまったのだった。
後宮内には、一気に静寂が訪れていた。
飛行船の姿が無くなっても……誰もがまだその場に立ち尽くしている。
振り返ると、ふと視界に入ったのは天王様の姿だった。
表情を崩さず、飛行船の消えた跡をずっと見上げていた。
……何を思ってるんだろう。
私は昨日、ほぼ寝ていてわからなかったけども。その間に二人は何かしらの話をしたのだろうか。
どのような結末を迎えていたのか……。
「あぁ……行っちゃったな」
「ええ……」
豹牙様も同じく、見上げたままボソッと呟いていた。
……しかし、今の豹牙様の表情は、もうしょぼくれた泣きっ面ではない。
未来を見据えては、光と希望に満ち溢れている、そんな瞳をしていた。