私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

私が面会を拒否したと知ると、両者共に物凄く憤慨していたらしい。

中に入れろと騒いだのなんの。恥ずかしい。

しかし、そこへ何故か天王様が現れて「お引き取り下さい」と一言口にすると、波が引くようにサーッとお帰りになったらしい。権力には抗わない人たちだった。




善見城での暮らしは、豪華な三食寝床付き。食後には必ず紅茶を淹れてもらえる。

なんて、至れり尽くせりだろう。

こんな贅沢な時間、二度とない。



私はお茶の時間には必ず、聖威から貰ったチョコレートを茶請けにする。

ひとつ口に入れては、口の中に広がる甘みにうっとりしながら味わう。

あぁ、美味しい。

これ、ホントにこの世界で作れないかしら。チョコレート。

絶対、お茶会の話題になれる。大流行するのに。



そして……このまろやかな甘みを通して、思い出すのだ。

辛くも楽しくもあった、仲間と過ごした充実の日々を。



思い出すと、自然と笑みが溢れて幸せな気持ちになる。

遠く離れていても、私はひとりじゃない。みんなと過ごした日々は、心の中に残ってるから。

だから、一人でも前へ進める。

左の人差し指に嵌められた、赤い宝石の指輪を見つめては、そんなことを思っていた。

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