私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「ん?」
私の横槍でピタッと口論を止めた二人は、キョトンとしてこっちを見る。
だが、発見してしまった私は、慌てて指を差すのだった。
聖威の左腕にある切り傷と、滲んで床に滴り落ちる、血液を。
「ケガ!……ケガしてるっ!」
「ん?あ、あぁ」
私に指を向けられた聖威は、その部分にふと目を向ける。
「あぁー」と気のない声をあげていた。
「おいおい。聖威おまえ、ケガしてたんか」
「……忘れてた。防御しきれず擦っただけ」
血が出てるのに……忘れてた?!どんな感覚してるのよ!
そして、ケガ忘れて、あのくだらない口論してたわけ?どんな優先順位?!
すると、傍にいた翼も腕の傷を覗き込んで「わぁー」と声をあげる。
「おいおい。ケガ忘れてやんややんやモメてたわけー?おばかー。……おーい、銀ちゃん!手当て手当て!」
「救急箱ならそこにあるだろ」
「えー。どこー」
ガサゴソと救急箱を探す物音がする中、私はその傷を凝視して、手を翳す。
久々の試みに、息を呑んでから口を開いた。
「……聖なる白い恩寵、光の祝福……」