私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
言霊を口にすると、翳した掌からは白く淡い光がフワリと現れる。
温かみを感じる光を、聖威の腕の切り傷へ注ぐと、傷は次第に塞がり、滲んだ血液と共に姿形が消えていく。
手を離した頃には、切り傷は跡形もなく姿を消した。
これは……神術士にはなれなかったけど、そんな私が唯一使える神術。
「あんた【治癒】できんの?」
そう言って、聖威は治った腕をいろんな角度から見ている。「へぇー」と感心しながら。
率直な質問に、私は頷く。
気が付くと、他の二人も傍にやってきていて、不思議そうにケガの治った腕をじっくりと見つめていた。
「ほおぉぉ。治癒術式って確か適性キビシーんだろ?さすがの聖威も使えないよな?」
「うん。私の神力の質じゃ無理」
「それにしても、鳩槃茶の令嬢が神術使える?竜樹からの情報にあったっけ」
「いえ、これは……」
「い、今のは【光】の治癒術式か?!」
「へ……」
私達の会話に、急に入り込んできた声がひとつ。
声がした方向は、この居室の入り口からだった。
しかし、そこにはなんと……私でも顔を知る有名で高貴な御方が、お供の者を連れて立っていたのだ。
(はっ……?!)