私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
ここ最近聞き慣れた声を耳にしては、ハッと顔を上げる。
四阿の陰から、ちょうど姿を現したところだった。
「おや、竜樹。立ち聞き?」
「自分の話をされていたらそりゃ、堂々と入りづらいでしょ。……ただいま戻りました」
そう言って頭を静かに下げる竜樹様に、天王様は「おかえり」と、ほんわりとした口調で出迎える。
私も席を立ち、一礼をする。
「まあ立ち話もなんだから、竜樹もどうぞ」と、天王様のお誘いにより「では遠慮なく」と、竜樹様も会の席についた。
侍女が手早くお茶を淹れている。
「……ところで、摩睺羅伽王領への用事とは何だったの?」
竜樹様がお茶を飲んで一息ついたのち、天王様が早速その詳細を問う。
「ああ、それはですね……」
手にしていたティーカップを置いた竜樹様は、モゾモゾと自分の懐に手を入れていた。
そして、そこから出てきたものとは……数枚の折り畳まれた紙。
手紙のようだった。
「……舞空」
そして、その手紙を私の前に差し出す。
「実は、摩睺羅伽王領には、とある人に会いに行っていたんだ」
とある人……?
首を傾げながら、目の前の手紙を手に取る。
表には宛てた私の名前と。
……差出人の名を見て、心臓が飛び出るぐらい驚愕してしまった。
「こ、これ……!」
「ああ。君の老師……那金陀様からの手紙だ」