私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
老師はずっと後悔していた。
私に神術士になれと唆しておきながら、自ら兵団を出て行ってしまったことを。私への謝罪が綴られていた。
此度の私の冤罪による婚約破棄、罪人に仕立て上げられたことを竜樹様から聞いて、自分のことのように憤慨したそうだ。
それと同時に、私が自ら裁判に挑み、魔族相手に唯一の術式で戦ったことも竜樹様から聞いたそう。
私が……神術士を目指すと公言したことも。
それについては、嬉しく思うと率直に書いてあった。
出来ることなら、自分のもとで私を神術士として育てたいとも。
だが、自分は今、御子様を置いて摩睺羅伽王領を離れることが出来ない。
かと言って、スタンピード警戒状態という危険な状況下にある摩睺羅伽王領に、私を呼ぶことが出来ない、とも。
……そこで、老師の『提案』というものが、次に書かれていた。
「……え。えっ……!」
想定の範囲外だったその一文に、私は思わず声を上げてしまう。
手元の手紙と、隣にいる竜樹様を挙動不審気味に交互に見た。
竜樹様は、私が何を言いたいのかわかったのか、うんうんと笑顔で頷いている。