私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


「舞空、遅くなって済まない」



約束の時間を少し過ぎたところで、この四阿に顔を出したのは、この【水晶竜宮】の主である竜王様の御子、竜樹様だった。

私をここに導いてくださった方々の一人。

天帝様の特命として、善見城の神術士団にも籍を置いていた竜樹様だが、あの件以来、大掛かりな命は無く、自領にいることが多くなった。

しかし、善見城と竜王領を行き来する日々は変わらず。

本日は何でも、私に報告したいことがあるから、卒業式の前に少し話せないかとのことだった。



「いえ、気になさらないで下さい。竜樹様は昨晩善見城より戻られたばかりでしょう。今日も朝から忙しくされていたのでは?」

「まあ、今日は養成所の卒業式だからね。……と、まずは課程の修了おめでとう、舞空。この竜族神術騎士団に残ってくれるんだって?」

「はい、ありがとうございます。紅龍様の研究室の一員として、お世話になることにしました。今後は討伐遠征にも参加致します」

「優秀な治癒師がまた一人増えて、有り難い限りだよ」



王城の使用人さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら、少し世間話をする。
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