私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


そう言われて、竜樹様と紅龍様と向かった場所とは……竜王領の南の果て。

まだ未開拓の地域だった。【水晶竜宮】がある地域より、湿気も多く暑い。

竜王領はとてつもなく広い。七つある王領のうち、圧倒的に面積がある領地だ。

なので、こんな未開拓な領域があっても仕方がない。



しかし、こんな木々がぼうぼうと生えている森林の地帯に私を連れてきて、何を……?



『舞空、これを見て』



竜樹様はそこらへんにある木の枝を引いては私に向ける。

枝には、掌ほどの大きい木ノ実がぶら下がっていた。色は茶色っぽかったり、赤身がかっていたり、様々。

気付けば、そこら辺の木々は皆、この実をつけている。

ここら一帯で自生している植物のようだ。



『これは……何ですか?』

『カカオの実だよ』

『かっ、かかお!』



カカオの実?!……って、それは私の記憶が確かなら。

それは、あの美味しいチョコレートの原料ではないか。

現在の天界にチョコレートはない。

しかし、まさかこんなところに原材料が自生しているなんて……!

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