私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

そして、なんと。私たちが夜叉王領を訪れる日に合わせて、あの天子・豹牙様も夜叉王領にいらしていたのだ。

あの約束を果たすために、日々努力に励む仲間との再会を果たしたのだった。

……だが、豹牙様は羅沙姫とずっと行動を共にしていて、竜樹様が陰ながらに苛ついていたのは、内緒の話。




「あ、そういえば。先日、羅沙姫へのお土産にお持ちしたチョコチップの焼き菓子、どうでした?姫様、喜んでましたか?」



不意に話を振ると、竜樹様は照れ臭そうに答える。



「……うん。とても美味しいって喜んでくれたよ」

「まあ!それは良かった」



新開発の商品が完成するたびに、竜樹様はそれをお土産として、夜叉王領の姫様のところへと足繁く訪れる。

姫様の喜ぶ顔が見たいがために。……と、私は思っているんだけど。



「……いや、でも勘違いしないでくれ。羅沙は俺にとって何の穢れもない癒しなだけであって、性の対象ではないというか、決していやらしい目で見てるわけじゃ……」

「……」

……いや、そういうことでしょ。竜樹様。

癒しを求める存在こそ、それは真実の恋心なのですよ。

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