私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
『ええ、間違いありません!伽藍様の体には僅かに被毒術式の術陣の痕跡が……』
『ま、待ってください。だって、毒の入った小瓶が見つかったんですよね?』
『下官らの調査ではそうありましたが……』
しかし、治療師の見立てとしては、伽藍様は毒を口にしてはいない。口腔内には毒が通過した痕跡はなかった。
そして、伽藍様の体には、術陣の痕跡が。
下官らの話と伽藍様の容態が僅かに一致しないのである。
この事態に混惑した治療師は、自分の見立てが確かかどうか、天導師である竜樹様に相談に来た。とのことだった。
もし、この話が本当なら。これは偉い事だ。
真実をろくに追及せずに、何の罪もない者に冤罪を着せた事になる。
そして竜樹様は翌朝、その治療師と共に伽藍様の元へと向かった。
事を荒立てないように、姿を隠してお忍びで。
だが、そこで目にした状況は、治療師の見立て通りだった。
伽藍様の体には僅かに【被毒術式】の痕跡があったのだ。
普通の神術士なら、見落としそうなぐらいに神力が微調整されたもの。
……これは、相当な手練れの仕業だ。