私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
ーーーこの毒殺未遂事件は、食事に毒が盛られて謀られたのではない。
そう見せかけて、密かに【被毒術式】が使われたのだ。
しかも、消えかかっている術陣の痕跡は、見たことのない複雑な図の術陣。このような術陣、天界の神術士はまず描かない。
それに、被毒術式は治癒術式同様、適性が稀少で限られている。
そんな手練れの神術士も、稀少な適性持ちも、この韋駄天城にはいないはず。
じゃあ……?
ーーその時、竜樹様の頭に過ったのは、特命の件だった。
頭に叩き込んでおいた、月輪界の特級犯罪人の情報が思い出される。
確か、【被毒術式】の使い手であると、情報にあったはず……!
そこで竜樹様はすぐに聖威と連絡を取り、事の経緯、天界には浸透していない術陣の特徴を報告する。
聖威の返答とは。
『間違いない。それは我々が追っている特級犯罪人の仕業だ』
思わぬところでとうとう見つかった……!
だが、こっちが察知したことを向こうに気付かれでもして、逃げられるのは困る。
特級犯罪人がどこに潜んでいるのかもわからない状況、下手に刺激を与えることはできない。