私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

「すまんな、舞空お嬢さん。ウチの班長、自分の部隊の部下の影響で、ラノベと大衆紙にハマっちまってよー?」

「らのべ?……え?」

「この世界、恋愛小説とか冒険譚とか物語はないのかい?」

「へ……」

「婚約破棄!ざまぁ!……うわぁぁー!楽しみー!」

「ざまぁ♪ざまぁ♪」と、急にはしゃぎ出して興奮しているその姿は、まさに年相応の少女だ。あんなに、カタガキに威張っていて、真剣な話をしている時は見た目との格差に違和感さえあったのに。



しかしそこで「静かにしろ!」と、竜樹様の怒号が飛ぶ。



「聖威、クソな世界とはなんだ。そんなクソな世界の帝宮の潜入に失敗して追い出されたのはどこのどいつだ?え?」



竜樹様の口調が突然砕けたものになって、ヒヤリとしてしまう。

聖威は一転、ギクッとバツの悪そうな表情を見せる。



「わははは!そーそー。そんなクソの世界の男に絆されてイチャイチャしてんの侍女長に見つかって追い出されてんもんなー?わははは!」

「そ、それを言うなら翼、おまえこそ、天帝の息子の侍従どころか、変な事ばっか教えて、しまいには『社会勉強ナリ!』なんて黒翼出して坊ちゃん連れ出してお空を散歩して、将軍様にすこぶる怒られて追い出されたくせにー!」



また、変な小競り合いが始まったようである。
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