私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
5.ざまぁとは何ぞや
みんな揃って、無言。というか、絶句しているようだ。
この世のあり得ない物を見て驚愕したような表情をしている。
何か不味いことを言ってしまっただろうか……と、不安になった。
しかし、殺気が張り詰めたような重苦しい空気が流れていたが、その沈黙を破ったのは、翼。
「……おいおいおい。クロじゃね?」
「へ……」
「ああ」
銀太さんは無言で頷いていた。
黒、とは。
「……舞空嬢、見てもらいたいものがある」
そう言って、竜樹様は背後に控えていた侍従の男性に指示する。
侍従が取り出してこっちに持ってきたものとは……数枚の令嬢の姿絵?
それを私に手渡す。
「この中に、韋駄天様と一緒にいた女性がいないか確認して欲しい」
「こ、これは……」
「……最近、善見城で起きている令嬢の行方不明事件を知らないかい?」
「へっ……」
今度はこっちが絶句させられる番だった。
私の住む韋駄天城は忉利天といって、天帝様の帝宮・善見城の麓に広がる地域。
善見城で起こった事件は噂話として耳に入ることが多い。