私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「恐らく、見られたくものを見られてしまったからだ」
「……」
それは……行方不明の令嬢と一緒にいるところ?
まさか、私が冤罪で忉利天を追放された理由が、そこに……!
まさかとは、思うが。
でも、そう考えると、冤罪をかけられ罰を受けることになったことの辻褄がすんなりと合うのだ。
「だから、事件の起きたあの場で舞空が犯人だと即決したのさ。予め、舞空を犯人にすることは決めていた」
「……舞空嬢を殺して消す、という発想はなかったんだな」
「殺しとなると大事になるだろ。天界サイドの介入もあり得る。そうなると、身バレ確実だからな。そこの慎重ぶりもその特級犯罪人の思考パターンだ」
殺されるかもしれなかった?……背筋がゾッとした。
「……ここで、我々が追っている特級犯罪人の話をしようか。ヤツは月輪界でも屈指の神術士だ。この天界の基準に照らし合わせると、『禁呪』を複数習得しているため、その強さは『特級』」
「……」
「そして、ヤツが得意とする術式のひとつに、【被毒術式】と【擬態術式】がある」
被毒術式が得意……伽藍様へ手を掛けたのは、その特級犯罪人である可能性を強めるものだが。
「【擬態術式】……?」
聞き慣れない術式の種類に、眉を顰める。
「【擬態術式】とは、要はなりすましさ。自分の姿そのものを、自由自在に別の姿へと変えることが出来る」
「それは、つまり」
「……恐らく、その韋駄天サマとやらは、特級犯罪人本人。姿形を韋駄天サマに変えてなりすましてやがる。これもヤツのお決まりの手口だ」