私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


「総統のお兄様も、ものすごく気にかけている様子だったので……」

「あれは単に過保護なんだよ。まあ……過去に聖威に起きたことを考えれば、無理もないかもしれないけど」

「過去に?」



そして、それは今回の『特級犯罪人』と深く関連していることなのだった。



「聖威は……月輪界のお姫様というよか、月輪界の数少ない貴族の令嬢、だった」

「だった?過去形ですか?」

「没落貴族の令嬢、だな。……そして、その『星宿院家』を没落させたのが、その特級犯罪人・架威(かい)だ」

「……」



それはとても、凄惨な過去で。



ーーー月輪界とは、単に聖母竜の統治する世界なのではない。

『転生者』の集まった世界なのだそうだ。

神族、人間含め、全ての生命体は、生を終えた後、魂が『霊界』に運ばれ、審判され浄化され次の転生先を決める。

しかし、その過程で魂の記憶が浄化しきれず、前世の記憶が残ったまま転生してしまう例もあるようだ。

そんな魂が集められたのが、月輪界。

月輪界の住民のほとんどは、前世の記憶を持って生活しているという。なので、月輪界の文化は多重化しており、ある意味混沌としている状態なのだそうだ。
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