私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
だが、そんな前世の記憶持ちが多い中、前世の記憶がなく純粋に月輪界の先住民の末裔として生を受けた一族がいくつかある。
それが、月輪界の『貴族』といわれる者たち。
この世界同様、身分の高い者として敬われている存在だそうだ。
「……俺も、聖威もこの『貴族』とやらに、準ずる。俺の『月御門家』は、大防衛軍をも取り仕切る聖母竜の側近の一族、月輪界では一番大きな一族だ。聖威の『星宿院家』は……『聖域』を所持した神術士、星見の末裔と言われている。月輪界では聖母竜の次ぐらいに尊き身分の貴族だ」
「せ、聖域?!」
「星見というと、天界に馴染みが深いだろ?」
銀太さんはそう言って「ははっ」と笑う。
だが、こっちにしちゃ笑い事でもないかも。
聖威が、あの『聖域』の番人、星見の末裔の一族……!
尊き身分、だから姫様……。
「では……翼も記憶持ちなのですか?」
「いや、あいつは純粋な魔族。聖威の父、当時の星宿院家の当主が魔界遠征の際に、どこからか拾ってきたんだ。それ以来、星宿院家に住み込み、聖威の従者として昔から一緒にいる。主従関係というよかは、まるで兄妹みたいだけど」
魔族が侍従…!世も末だ。