男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
男性は低く反復し、大きく一歩を踏み出して私の腕の中を覗き込む。反射的に見上げた視界に、彫像よりなお整った美貌が飛び込んできて驚きに目を瞠る。
「へ、陛下……!」
「……こいつは!」
私と男性……もとい、サイラス皇帝陛下の声が重なる。
なんと男性は、先の葬儀で参列者の最前列に悠然と立っていたサイラス皇帝陛下その人だった。目の前の人物が最高権力者と知り、子猫を抱いたまま弾かれたように膝を折って頭を垂れる。
「嘘? 皇帝陛下!?」
私の声を聞き付けたセリウスも、慌てて膝を突いて頭を下げた。
「それを寄越せ」
……え? 頭上から掛けられた声にすぐには理解が追いつかずに固まっていたら、前方から伸びてきた腕に子猫を奪われてしまう。
「あっ!」
考えるよりも先に、サイラス陛下に掴み上げられた子猫に向かって手が出ていた。
「こいつは俺が預かる。其方らの手出しは不要だ」
サイラス陛下は私の手を難無く躱し、血で汚れるのも厭わずに立派なマントで子猫を包んで言い放つ。
「は、はい。ご無礼をいたしました」
「へ、陛下……!」
「……こいつは!」
私と男性……もとい、サイラス皇帝陛下の声が重なる。
なんと男性は、先の葬儀で参列者の最前列に悠然と立っていたサイラス皇帝陛下その人だった。目の前の人物が最高権力者と知り、子猫を抱いたまま弾かれたように膝を折って頭を垂れる。
「嘘? 皇帝陛下!?」
私の声を聞き付けたセリウスも、慌てて膝を突いて頭を下げた。
「それを寄越せ」
……え? 頭上から掛けられた声にすぐには理解が追いつかずに固まっていたら、前方から伸びてきた腕に子猫を奪われてしまう。
「あっ!」
考えるよりも先に、サイラス陛下に掴み上げられた子猫に向かって手が出ていた。
「こいつは俺が預かる。其方らの手出しは不要だ」
サイラス陛下は私の手を難無く躱し、血で汚れるのも厭わずに立派なマントで子猫を包んで言い放つ。
「は、はい。ご無礼をいたしました」