男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
荷運びに四苦八苦する私に振り返って確認する余裕などなかったが、足早に近づいてくる気配を鑑みれば、件の人物が先を急いでいることは疑いようがない。私は通行の邪魔にならぬよう、回廊の端に寄る。
ところが、私の横をすり抜けて先に行くのだとばかり思っていたその人は、なぜか私のすぐ横でピタリと足を止めた。
……どうしたのかしら?
戸惑いを覚えた直後、腕の中の大きな箱がヒョイッと取り上げられ、驚いて仰ぎ見る。
「え!? ……ダボット様!」
なんと近衛長官のダボット様が、私がやっと両手で抱えていた箱を片腕で悠々と持ち上げていた。
「なにを運んでいるかと思えば、サイラス陛下の武具か。鍛冶屋から戻ってきたのか?」
「はい。先ほど報せを受け、引き取ってきたところです」
「陛下の部屋に運べばいいんだな」
言うが早いか、ダボット様は真っ直ぐにサイラス様の部屋を目指して歩きだす。
「いけません! これは私の仕事ですから、ダボット様のお手を煩わせるわけにはいきません。お気持ちだけちょうだいしまして、その箱はお返しください」
ところが、私の横をすり抜けて先に行くのだとばかり思っていたその人は、なぜか私のすぐ横でピタリと足を止めた。
……どうしたのかしら?
戸惑いを覚えた直後、腕の中の大きな箱がヒョイッと取り上げられ、驚いて仰ぎ見る。
「え!? ……ダボット様!」
なんと近衛長官のダボット様が、私がやっと両手で抱えていた箱を片腕で悠々と持ち上げていた。
「なにを運んでいるかと思えば、サイラス陛下の武具か。鍛冶屋から戻ってきたのか?」
「はい。先ほど報せを受け、引き取ってきたところです」
「陛下の部屋に運べばいいんだな」
言うが早いか、ダボット様は真っ直ぐにサイラス様の部屋を目指して歩きだす。
「いけません! これは私の仕事ですから、ダボット様のお手を煩わせるわけにはいきません。お気持ちだけちょうだいしまして、その箱はお返しください」